ずぶ濡れた目の冷めた少女 模範回答 声は枯れ 差し込む天(あめ)の梯 鈴の音と鳴き声 まだ残る味は苦くて 何度も濯(ゆす)いだ 宛もなく ただ路地は続く 灰色の春 宵の雨 街中 みんな死んだふりして 知らんふり 喉の奥 もう行かなきゃ 幕間(まくあい)が終わる 拝啓 いつかの午後 悟った顔で飽く少女 ただ酔ってるだけの死にたがり 泣いていたいよ 触れられたい少女に 僕はただひとりで待っていたい 満ちた声 縁(ふち) ぷるりと張る 弾ける前の戯れに ここぞと つつく少女 アイラインが滲む 音のない 無味な朝を 睨みつけていた 拝啓 静かな朝 悟ったふりで飽く少女 漂ってるだけの生きたがり 泣いていたいの? 浮世離れぶるのは疲れただろう 灰の春と名前をつけた落書きを 棄てられずに大事にしまって 泣いていいよ 触れられたい少女に 僕はただひとり黙っていたい うつむいた影 雨のしじま 端にちらつく はなひとつ 体をこすりつけて なぜ今日も君は啼く