鏡越し、僕の目に映る 伽藍堂 藍色の部屋と割れた窓 綺麗だった 触れてしまった 1人で 足りないことさえ 気づけなかった 記憶の端だけ拾う 幼い僕は、無力さを知った。 足音が 途切れないように 宛てのない、手紙を読む 蒸し暑い 夏の日のこと 腕時計は、壊れていたね 知らなかった 何もかも まだ足りない 溶け出した記憶が 熱を放っては冷める 失いたくないものばかり 増えていく 1つ、1つ、重なって。 「忘れないでね?」 「約束。」 部屋の隅で ゆれる。 頭の中を 埋め尽くす景色は 鮮明に、 今も消えない魔法みたいだ 美しいまま刻む。 歩き続ける 僕は貴方を 追い越してしまう さよならは 言わない。