このレンズから見える世界は 灰掛かっている レタッチを繰り返せどモノクローム 愛想で笑って誤魔化す人間ごっこ 俯いた儘で怯えるだけ 取り繕うのが嫌になって 「諦めよう」の連続で 夕映えのカーテンに溶け込むだけ 灯が遠く、遠くなって はかない呼吸一つで しかくいろになっていく 日々を歌っているんだ 忘れ事は何か無いか 遺せるものは無いか 窓の向こう 君が微笑むから ぼやけてしまうの 未だ勘違い思い違いを繰り 返している。 被写体は 僕じゃないことぐらい分かっている でも勘違い思い違いの幸せで良い そのまま死ねるなら、 それでいいだろ 寝息一つも立てないで 眠る君は水性の絵具の様に青むの 撮り溜めた世界は長方形 贖うならって正方形 ヴェロナールを呷って 君のもとへ 灯が遠く、遠くなって はかない呼吸一つで しかくいろになっていく 君を歌っているんだ 忘れ事は何か無いか 遺せるものは無いか 僕は君の死を描いた 何遍もの詩を書いた 箱にはもう僕等だけ 冷たい頬を擦った 君の癖をいつも真似た 両手合わす四角の 窓の向こう 君が微笑むから 僕は今、窓の向こう側