おばあちゃんは毎朝 台所に立って 真っ黒なフライパンで 玉子焼きをつくる 持ち手もはずれボロボロで 焦げ付いてしまうのに 何故だか毎朝 使うのです おじいちゃんが まだ生きてた頃に プレゼントしてくれた フライパンやから 涙ぐんでそう話す瞳には 愛おしいおじいちゃんがいた 毎朝2人で食べたその味は 何にも変わらない おばあちゃんはある朝 フライパンを持って ゴミ捨て場に歩いて行き ついにさよなら告げた いつまでも 持っててもしゃあないやろ そう話しおばあちゃんは 家に戻った ゴミ収集車の音がした おばあちゃんは家を飛び出した 間に合ってよかった やっぱ捨てられへんって笑いながら 涙ぐんでそう話す瞳には 愛おしいおじいちゃんがいた 毎朝2人で食べたその味は 何にも変わらない おばあちゃんは毎朝 台所に立って 真っ黒なフライパンで 玉子焼きをつくる