快楽を貪った過去が襲う 手練手管の首尾 軽薄な指よ あの頃の僕だったらこの場面 なだめて胸のボタン外したかも 無邪気なフリをして はにかむばかりの今 じれったいのさ かきむしる皮膚が染まって 唇の色 夢から覚めて涎もたれて 叩けば崩れる石橋から 逃げ出すのさ いちもくさん 靴を履いて 余所のことばで誰彼連れ回す 気障なセリフ重ね相手を弄ぶ 無事釣れたら速やかに海へ返す 妄想に抱かれ泡だらけの夜 他人のフリをして かすめ取るだけの日々 たまんないのさ からみつく吸盤のあとが 唇の色 あばら押さえて 体温を上げた 寄せては返す記憶の波 抗うのさ いちもくさん ドアを蹴って 冷たい膝小僧 よく跳ねる白い尻 都合いいのさ 笑う顔ばかりが浮かぶ 唇の色 快楽を貪った過去をまた 折り目をつけて畳んでしまえ 逃げ出すのさ いちもくさん靴を履いて 抗うのさ いちもくさんドアを蹴って 飛び越えるのさ いちもくさん頬を打って