ささやく柔らかな声もなくて 肺ばかりが黒く染まる夜は 空を舞うビニール袋みたいに 部屋着のまんまで旅に出よう 今どの辺にいるかなんて きっとどうでもいいのさ 失くしたものは数知れず まだ見ぬ誰かも数知れず もう君の影も放り投げたんだ 浮かれた体温のままに求めた日も 吐いた台詞も そう 次の角を左に折れたら 笑い飛ばして つがいの女にでも怪しまれたらいい 荒れた地下鉄に閉じ込められて 他人と変拍子を刻む夜は へばりついたガムが消え去るまで よれたスーツで旅に出よう 明日に残す元気なんて はじめからなかったんだ 腹抱える日かも知れず 頭抱える日かも知れない 後悔はもうしないと決めたんだ 八つ当たり 嫉妬 悔しさの捌け口を探しついた嘘も 甲州街道 よそ見もせずにまっすぐ 割増のタクシーに 何台抜かれるかを数えていたらいい 明けた朝の身支度 使い慣れた歯ブラシは やましさや尻の割れ目も 跡形もなく消し去ってしまうさ もう一度 少しは期待するのさ 寄せては返す波のよう 浮き沈みを繰り返し果てる そう! 苛立ちも飲み込んでは歩くんだ せっかちな 神経をなだめすかしてこのまま 飼い慣らそうぜ スカしてこのまま飼い慣らそうぜ なだめすかしてこのまま 飼い慣らそうぜ