嫌な気配だ 得体の知れない 何かわからないが私を詰る もう嫌いだ 不安か? 不吉めいた塊が心を蝕み続けていた 洒落た細工が 煙管の灰が みすぼらしく美しい街並みが 娯楽めいた今 意識のズレた甘美な果実と成る 夢か幻か はたまた泡沫の一時か 袖に触れて 憂鬱は幸福となり変わる 此の世のすべてを 黄身色に塗り潰そう 例えば 有名画家の彩り鮮やかな画集とか それでも世界は 何一つも染まってはくれないから 笑って誤魔化すよ 嫌な気配だ 居ても立ってもいられないな わからないが街を往く それは焦りか? 不安か? 不吉めいた塊が心を縛り 付けていたまま 冷めた瞳が 震えた腕が 掻き毟った脳内で蠢いていた 諧謔的な 快楽に浸った妄想に取り 憑かれているみたい くすぐったい 此の世のすべてに 気味悪さが立ち罩める 例えば 和音の合わぬ耳障りな不協和音とか それなら世界も 惑う錯覚に酔えばいい 例えば その裏路地を 見知らぬ街並みに魅せるとか 此の世のすべてを 黄身色に塗り潰そう 例えば その紡錘形の歪で 美しい果実のように それでも世界は 何一つも変わってはくれないから 笑って誤魔化すよ 散々と歩いた京を往く 妄想に耽って今日も往く 息の詰まった街を塗り潰していこう 爆弾みたいに 壊して創って繰り返す 毎日のように繰り返す 息をするように人生は繰り返す 死ぬまで繰り返す