これは22世紀のことで 期待大 ついに感情を持った 人型ロボットが現れたんだ そのうちの1つが僕だったんだ どっかの誰かが言うにはさ 頭の中は高性能だけど 応用が少しもきかないから 結局ダメなロボットなんだって ねぇ人間様 「悲しい」ってこんな感情なんだね 必要ないよ こんなもの 今すぐ取り出してよ 体を痛めながら 胸のあたりが 何度も金切り声をあげてる どうして 僕なんかを? 作らなければ良かったのにと 泣き崩れた 両目から水が流れ落ちた これがいわゆる「涙」ってやつか 泣き疲れたからもう向かうよ ベルトコンベアに足をかけた その時に君は手を握って 救い出して僕をそっと抱きしめた そして見つめて優しく微笑んで 「あなたがどうしても必要なの」 あぁ人間様 「嬉しい」ってこういう感情なんだね こんな役立たずでも 誰かの為になれるんだ 体は痛くないけど 胸のあたりが 何度も鼓動を刻んでいる どうして 僕なんかを? 「だってあなたは必要だから ここにいるんだよ」 君はいつでも優しくしてくれた 君がいたから優しくなれたんだ いつからか消えていたんだ 消えようとしたあの日のことが 体は重くなって 胸のあたりも 金切り声すら出せなくなって 君の体温 僕の涙 暖かい腕の中でそっと終えた物語