雨上がりの道を歩いても誰にも聞こ えない この季節だけのいい天気を このときだけはと満たしている 横を歩く人に気を遣うということも ない 考えることには飽きるくらいに 一様にやっかいな暮らしの周りを 唾を吐いて 悪態をついて 優しく揺れながら 旋回している 春は終わった 夏も終わった 秋も終わった 冬が終わった もう遠くから聞こえない君の声を忘 れる 風の吹くだけで幸せだと感じるほど に いつかあったものはもう全部なくな ってしまった それでも君はまだ生きている 当たり前のことであるかのように 勝手に産まれ 育てられ 願われて 春はよかった 夏もよかった 秋もよかった 冬は寒かった