ゆうべは、なぜだか目が痛くて、 夢が見えずにいた。 昼下がり、空いた電車に乗って、 海を目指しました。 照りつける陽が肌を焼く通りを 抜けたら、 空が広がる。 まぶしく揺らめいた水面に、 切なさは細かく砕けて胸に響く。 波間に浮かぶのは、 水海月でしょうか。 風が過ぎ、潮の香りを運ぶ。 かもめが飛び去れば、 いつからか染みついていた 口癖でさえも、 ふいに忘れる。 さやかに白い壁の街を 包み込む日差しに靴すら 踊らせたら、 頼りないままでも朝は 来るでしょうか? 翼を広げた影が あの地平を超えてゆく。 このまま歩いて行け、と、 光が示した。