日記を綴ったあなたは なんだか遺書みたいって 困ったように笑った 窓から花火が見えた 走馬灯みたいだって 僕ら静かに泣いた 夏は終わり 蝉は死んだ そして虫たちが眠った頃 急に冬が唄って 僕らの手足も愛も悴んでしまう 人一倍 怖がりな僕ら 視線に怯えて お互いの顔も知らない どの道かも選べない僕ら 答えに怯えて またいつもの檻の中に ただいま 駅でスーツ着た あいつは 優しい大人になって 僕はあの日のままで 季節も皆もかわって 僕だけ汚いままで ひどく幼いままだ 都会の海は真っ黒で 暗い僕にそっくりじゃないか 分かってるだろ だからあなたも 青い海から逃げて来たんだ 大間違い 怖がりの僕ら 怯えたふりして ただ自分を守ってるだけ どの道かも分からず進んだ 鍵のない檻の中に 帰ってしまわぬように 人一倍怖がりの僕ら 視線に怯えて お互いの顔も知らない まだ暗い部屋 見つめ合った僕ら 冬の渇いた空気 睫毛が濡れて光った 僕らは雨を仕舞った