足りない言葉の端一つ 掴み損ねた街 淡い群像 影伸びる街路樹 気が触れそうだ 寄る方のない夜明け前 聞き飽きた シャッター越しの 時雨降る足音で着飾る 「もういいかい」揺蕩う有象無象 東の空に溶けていく頃 「まだだよ」聞こえる東京 雨音に欠伸して 夜を超える人たちは 気付けやしないだろ 嗚呼 世界はいつだって まだ自転は止まっている 時雨降る夜には寒さなんて忘れた 傘はもう開かれる 彷徨う常夜灯 相対する影法師 カーブミラーに映る 自分に答え合わせ ポケットにバイブレーション 終電発車2分前 秒針刻む音 解けていった 靴紐を結ぶ 水溜りに映る 信号機 夜を知らない人たちは 気付けやしないだろ 嗚呼 嘯く世界は まだ覚めない白昼夢 時雨降る夜には寒さなんて忘れた 傘はもう開かれる 白く染まっていく 東の空を尻目に 曇っていく視界はまだ晴れない 滲む靴下の跡 蠢く歩道橋 傘を開く 夜を超える人たちは 夜を超える人たちは 気付けやしないだろ 嗚呼 世界はいつだって まだ自転は止まっている 時雨降る夜には寒さなんて忘れた まだ降り止まぬ時雨