歌う人魚姫

歌詞

「嗚呼、 さらば麗しき苦難の日々よ」 曇り眼の歌姫、今、 全てを捨て、泡になる。 電子の海に沈む人魚姫 真実に気づいてしまったの 私自身にゃ興味ないと貴方。 馬鹿みたいで、悔しくてさ、 それでも歌わなきゃいけないとか 辛くてさ。 確かにあの日に変わった人生、 嵐によく似た出来事ね。 深い海の底から見えた 月明りの様な景色はどこへ。 六畳一間、抱いた夢、 昼想夜夢のあの歌も。 食らった大否定すら今は、 全部が全部、朧に。 人魚姫なら辞めました。 肌色のあんよの人間です。 叫べも歌えもしない。 声は売りまざまざ空々に。 電子の海に沈み、 泡になってしまいたい。 そうしたらあの台詞も、 失楽園も見なくて済むから！ 嗚呼、媚びへつらって、 口を噤んで、 泣き喚いた部屋に、 明日すら無いのも有り得るわ フランダース、負け犬の様、 心を失くしてただ歌うだけ。 千客万来、目が回る。 歌えば刺す様な鋭痛が。 掌回しが得意の芸。 全て忘れてしまいたいわ！ 人魚姫なら死にました。 むしろ私が殺しました。 電子で溺死させた。 叶わぬ恋なら要らないわ！ さらば苦難の日々よ！ 優しい貴方の言葉よ！ 握るマイクを捨てた。 人魚姫はもう歌わない。