飲み終わったペットボトル 手帳、トートバッグ、 買い物袋、携帯 呼ばれて走ってくる足音に加え 落とした硬い音がした ああほらまた割れた ぐずる顔見るのは何度目だろう 持ち切れなくて落とすものは いつも大切なもので どうでもいいものはどうして この手の中に残るんだろう 持っていられなくてごめんね でも許さないでねって ずるいね ずるいね わかってる 真っ黒のなか走る亀裂 手を切るなよって 言葉はただ漂った 持つよと伸ばした手は 取られることもなく 自らを握るしかなかった 謝るのは許されたいから その上でずっと甘えたいから 許さないのは手放せないから 忘れないで繋がれていたいから ああ ほら また ばれた 笑う顔見たってもう 気がまわらずにこぼす先は いつも壊れやすいもので どうにでもなるなんて言うから その手の中にいたくなる 切ってあげなくてごめんね でも許さないでねって ずるいよ ずるいよ 許して 消させて つまづいた テーブルを ひっくり返し 零した言葉たちを 拾ってしまったのが 間違いだったよと 今更になって言うのね