渾身の逸作と 呼称せずにいられぬ 二自転半の超大作は 行く者の騒音に化かした おまわり(さん)の 綴じ込みに姓を印す 寒空が促す蚯蚓の文字は ぼくを嗤った ぼくを嗤った ぼくを嗤ったように見えた 昇華不良の君は世渡り上手さ そう、昨日までは 中毒性ロックンローラーの 鬱勃たるや、否や 君はふさぎ込んだまま 君はふさぎ込んだままさ 代わりには乏しき 薬草(ハーブ)の薫り 覚書の束 渾身の一策はプラ製円盤と化した 叙述のようなトリックさ 戯れる黄帽 不要に鳴る防犯ブザーと 春の香りが絡む 著莪は鉛色に 映えてゆれる 君が笑った 君が笑った 君が笑ったように見えた 夕凪に似て人当たり上手さ そう、昨日までは 中毒性ロックンローラーの 鬱勃たるや、否や 君はふさぎこんだまま 君はふさぎこんだままさ 苦労人は孤独に苦悩している とぐろを巻いたまま 迫る怪物にぼくは彼女を差し出して その輪郭線を愛で撫でる 以前の錯覚を手綱とするのならば ぼくの元に戻っておいで 中毒性ロックンローラーの 鬱勃たるや、否や 君はふさぎ込んだまま 君はふさぎ込んだままさ 代わりには乏しき 薬草(ハーブ)の薫り 覚書の束 君はふさぎ込んだまま