散らかった部屋の中で 響いてた 君の寝息と笑い声が 音もなく後ずさる 暑いと言うくせに 距離を詰める ほのかに香る柔軟剤が 鼻の下を伸ばす 真っ白な手のひらを なびかせて 「風を感じてる」って君の 揺れ動く前髪を掻き分けて 額に唇を擦る 今はまだ愛してると 言えないまま 先走る気持ちを背に そっと抱きしめた 優しく押し出された ドアの向こうで 君は紅いマーチンを履いてた 散らかった部屋の中で 響いてた 軋む音と喘ぎ声が 脳の裏にこびり付く 今は無い当たり前に ここに来てとノックして 不自由の腹いせに 物語を描いた 優しく押し出された ドアの向こうで 君は紅いマーチンを履いてた 靴を鳴らし歩く度に 君は大人びて 僕の足音はまだ 子どもじみたまま 急いで抱きしめても 「」がつかない よく晴れた休日に 君の部屋をノックして 白百合の花束背に 前髪を撫でた 優しく押し出される ドアの前で 僕は黒いマーチンを履いてた