『夢からさめるように覚醒する 意識。 長い時間眠っていたような不思議な 感覚が残る中―― 少女はゆっくりと体を起こす』 「私は、どうして……」 「――この大剣は、なに?」 空白の時 歩むべき道を探して 闇色に 奏で散る波の音色 痛みの欠片 触れたか細い指先は 悴んだ 心まで凍る程に 生きることさえ 重い十字を抱きし苦しみ 深い孤独と悪夢に抗う 虚空に投げた 不遜な感情 神をも殺す幻想 すべてを燃やす 儚い焔は 遠い記憶に焦がれて 大剣を取れ 罪を滅せよ 「空洞の私にできることは、 ただ前を向いて歩き 続けることだけ」 「――絶対に、負けないから」 『すべての記憶は失われ、 再び覚えのない罪の幻影を斬り 続ける日々がはじまる。 何度でも、 果てなく繰り返される悪夢。 赦しを得ることもなく、 死ぬことさえ叶わない。 空導の姫君にかけられた呪いは、 永遠に少女を 解放することなく……。 ただ、残酷に時を描き続ける――』 燃え尽き果てる 燻る魂の残光 夕凪は 玲瓏に時を紡ぐ 生きてゆくなら 重い十字をいつしか降ろして 罪に塗れた悪夢を消したい 寂滅の詩 空虚な衝動 神をも堕とす空想 すべてを照らし 揺らめく焔は 失くした過去に焦がれて 大剣を取れ 罪を滅せよ さあ、呪われし姫よ―― 『それは、 若く美しい姫に嫉妬した魔女による 呪い。 囚われた姫は、 静かな森の奥深く眠り続ける。 苦痛に満ちた表情で、 耐えるように。 少女は、 本当は何も罪を 犯してなどいなかった。 唯一罪があったとするならばそれ は、そのあまりにも 麗しい姿で――』