春を纏う香水に 澱んだ涙が溢れて 僕の胸にこの季節を 深く深く刻み込む 冷たい当てつけに味をしめた 僕が君から奪ったもの 着実に一つ一つ 二人の間に積み重なる 耐え難い孤独に激しく取り乱す 香りが呼び起こさせた この感情は あまりに写実的で 春を纏う香水に 澱んだ涙が溢れて 僕の胸にこの季節を 深く深く刻み込む 床にこぼれてしまった水はもう 取り戻すことなどできやしない 着実に一つ一つ 二人の未来を縛ってゆく 風化した他愛もない小競り合いで 不確かに繰り返される日々 肌に残る温もりは 二人そこにいた証で 息を呑んでしまうほどに 愛おしくてたまらない 美化された思い出と 果てしない喪失感にうなされて 君の面影を探して彷徨う 冷たい当てつけに味をしめた 僕があの日失ったもの 着実に一つ一つ 痩せた身体から抜け落ちる 静寂に飲まれて自分を見失う 浅くて荒い呼吸で固唾を飲む 君の言葉を待つ 春を纏う香水に 澱んだ涙が溢れて 僕の胸にこの季節を 深く深く刻み込む