吹き荒ぶ風に舞う 光追いかけて 辿り着いた『昔』の王国 飛び交う竜の影が滑る大地を 『未来』で遺跡だった塔が見下ろす 幼い頃から好きな古書に 書かれた伝承が私の目の前に広がる 遥か彼方を往く翼に手を振り 空を映した瞳を見開く 遠い景色に懐かしさを覚えて 耳に蘇る挽歌を ふと口遊む 澄み渡る湖に鱗が跳ねれば 水泡が光を浴び煌めく 振り向いた夕焼けに並んだ影は 飛竜の形に造られた石像 禁忌を願った竜の運命 身体は石となり魂を閉じ込める 神の掟に 私はただ震えて 何もできずに唇を噛んだ 指で触れても 鉄のように冷たいだけで 届かない 竜の心に 悪い予感が 過る胸を誤魔化し 星を映した瞳を閉ざした 不意に零れた その涙の理由さえ知らず 陽は沈み大地は眠りに落ちる 安らかに