黎明の陽光に包まれた故郷で 刻渡る永い夢から目を覚ました 旅に出た日に咲いていた赤い花 全ては元のまま ただ君がここに居ないだけ 刻を正した時計の針は 『現在』も狂わずに動き続ける 探しに行くよ 何処かにあるはずの 『過去』を生きた君の痕跡を 灰色の雲に覆われても 明日には晴れること知っていたから 笑えたんだ 止め処なく降る雨の中 うつむいて 君の背中で見た星空の明るさを想う 忘れたくない無数の記憶 剥がれ落ちてゆく世界を恐れ 不意に見上げた瞳に飛び込んだ 時計塔を抱いた石の竜 触れた石の手は冷たいけれど 竜の心は解る―― 私がここに帰った後も 道に迷わずに進めるように 過ぎ去った日に呼ばれないようにと 刻の扉を閉めた だから私は真っ直ぐ行くよ 君の魂に恥じないように 未来を願い禁を犯した竜 私だけが君を知っている