あちらにも こちらにも 青春のなごりがある まるでなごり雪のように 黒ずんだ大地に 白い雪のかたまりが 心細そうに ちらほらと固まっている そんなところにも 愛があったか―― 隠れていた恋人の名も 今はもう憶い出せない 青春のなごりは いつも後悔とともにある 希望と挫折とが闘って 歳月に耐えるのは いつもみにくいアヒルの子だ 挫折ばかりの人生だと 思っていたが… ある日、池に映っていた自分は まっ白な白鳥だった 神様は 黒さより白さをほめられた しかし、それは、半世紀も 後のことだった 神話だけが 永遠に美しすぎる―― 僕の心だけを置き去りには させないでくれ…