枯れ散った花びらを掬い上げては 手のひらに擦り寄ってくる残り香を 吸い込む 何色に咲いていたかは もう 砕けたガラス 越しじゃわからないけれど 昨日の空は たしか今日よりも高く遠くひらけた 窓で 一昨日の雨はね きっと 暖かく頬を撫でつけて 鏡越しに見透かしてくる瞳も きっと陽が似合う色だったんだ 去年の今頃楽しかったっけ 私の笑顔も自然だったっけな 本当の自分なんてモノも 見つけれてたよな そんな煙雲のような オモイデが毒の根になって 一歩 一歩 一歩 一歩と 進む足離さない 選べた道は決して多くはないけど 描いてた未知を踏み外したとふさぎ 込む しゃがんだままの背中を そっと押されてもさ 進むわけないじゃん 強い人ならきっと振り向きながらも 前へ進めるんだろうね 背中越しの景色 振りほどく力も無いこの両足 あぁ 歩くのも 息吸い込むことでさえも こんなに 痛かったっけ 目指してた今日ってこんなんだっけ いつか見てた夢はなんだったけな そんな 大事なモノはもうごまかして 消したっけ コルチカムは昨日に花めき 明日に根付く毒の根遺し 一歩 一歩 一歩 一歩も 進めずに立ちすくむ 日記のページ彩ってたな 夕暮れ時寂しかったな 声を出すのも 目を見て話すこともできてたよな 深夜三時 眠れてたよな 朝もちゃんと起きれてたよな 目を閉じるのも息を吸うのも 辛くなかったよな 変えられない過去だからこそ 涙の雨に打たれないようにと 脆い心を守るようにオモイデを 着飾った 自己保身の嘘の連鎖の果 不確かなオモイデにすがり 半歩先の明日にさえ怯えてただ 乾いた目を瞑る 去年の今頃楽しかったけ 私の笑顔も自然だったけな 息苦しさを紛らすように 生きるのが苦しくないように コルチカムの花びらをまた 拾い集める
