Track byLamp
最初の頁を捲って 片道切符を挟み込んだ 暈んやり見上げた空に 冬のカシオペア 発車のベル 仄白い夜の底 もう戻れない過ぎ去った時間が 窓に縁どられて遠ざかる 目深に被ったベレーに 雪が滲むのを見つめていた 最後の言葉は 風に飛ばされて消えていった ため息で曇る窓 さようならと指先で綴った 零れ落ちる水のメッセージ 夜汽車の窓辺に凭れて 見慣れた町の風景は流れた