もうきっとこれが 最後になると分かっていた バスに揺さぶられ 僕ら大分遠くへ来た 雲の落とす影が山肌に映っている 川沿いを歩く 冷えた高地の空気が頬を撫でる 息を吸う 君を見る、物憂げな表情の君を 物思うのは僕だけじゃない 長い髪が揺れてる 目を合わせた君が少し先を歩いた ここが最後の場所だきっと僕ら 今さらなんだ、 僕は君と生きてたいんだ このままこの遠い遠い場所で 雲の影だけを眺めていようよ 川に突き出した岩に登る 君を見るだけじゃ飽き足らず、 僕も後に続いたんだ 並んで座る僕ら 青さを報せる空 光る川の飛沫が君の髪に跳ねた 言葉を交わす 君と無くさないように紡ぐ 梓川は岩を打つ 僕ら全部晒した振りをして 大事なことは何一つも言わないんだ 何時か君が居なくなった時には 無くさないように余さずに描くよ 僕じゃないと分かっていても 割り切れる訳なんてないだろ 誰かを想うとはそういうことだ 君を繋ぎ止めるその術を探してる それだけを考えてる 痛くても消えることはなくて 昼下がりの空の端に見えたのは 六月によく見ていた雲だ 君と会う前によく見たあの雲だ ここが最後の場所だきっと僕ら それでも、 今も僕は君と生きてたいんだ このままこの遠い遠い場所で 川の音にだけ耳を澄まして 雨が降ってきた このまま君はきっと、