朝、目を覚ますと君は居なかった 家の何処を探しても見つからない 連絡の一つも無い 玄関に目をやると鼓動が跳ねた 昨日まで置いてあった 長靴が無くなっていた いや、でもさ、昨日だって 君は楽しそうに 嘘だ、なんで? あぁ、そうだ追わないと ドアを開けると足元には 合鍵が落ちていた 言葉一つ残さず君が消えた 君に縋り付こうにも 思い出を見る目が痛い あぁ、そうかきっと 僕だけだったんだと そう錯覚して仕舞う程に 思い出の君の顔が曇った 僕は走った 君の足跡だけが残った道を 胸が痛むのは心の所為か、 肺の所為か 何処に居るかなんて分からないまま 僕は走った 人目の離れた道をただ走った 君は本当に出ていったのだろうか 鬼ごっこのつもりじゃないだろうか 家に帰ったら したり顔で待っていないだろうか そうだ、きっとそうだ あぁ、そうに決まってるんだ 君が横に居ても居なくても 僕は同じだ そうだ、僕は君を想っていたいんだ ただ君が居ないだけ、 君が居ないだけ ただそれだけだ ただそれだけ あぁ、やっぱり全然違うな 帰っても君は居なかったけど ただいまと言った あぁ、今のこのただいまは 何処に落ちて誰が拾うのだろうか 言葉一つ残さず君が消えた 名前を呼んだ それだけで溢れて仕舞ったんだ それでもだ、僕だけだったんだと そう錯覚して仕舞う程に 思い出の君の顔が曇った 君の居ない春が見えた