紅葉の散る川に染まる 秋が水に降る 盗まなくても十分紅いのに この中の誰かは海を 見たりするのだろうか 欄干に手を掛ける 少しだけ冷えていた 紅く成った水を、紅葉の柵を 眺めている君を 見るまでもなく眺めている 歩けばバス停が見える ベンチに腰掛けて 隣の老夫婦は遠くを見ている 君はそれを見つめている 何かしらを思いながら 僕はそれを見つめている 何かしらを願いながら 幸せの意味を、全ては終わることを 考えることを辞めることが 出来たなら それこそがきっと理不尽な幸せだ 不幸は 幸せの種なんかじゃないんだよ 僕は僕自身でさえも救えないんだ 君に救われてばかりだ あぁ、いつか君に訊いてみよう 僕は返せているだろうか どうだろうか