触れれば融ける 粉雪のように消えた思い 十年前の昔話に笑っている 外の風が顔に刺さる 少し酔いが醒めていった 昼を過ぎていた 雪雲はすぐ雨に変わる 後先ばかり考えていても仕方がない ありのままに流されてゆく 休み前の夜のように 鏡に映っている顔が語っている 積み重ねた過去に滲む明日 哀しみはいつかきっと 時が忘れさせると思っていた 明日の天気予報は 年明け最初の雪を告げた 冷え切った指先を ポケットの中でやり過ごしていた 一人取り残されたような世界で 「なんとなくで生きてみたいね」 電話越しに声を聴いた 僕は何も言えなかった 今も何も言えないだろう 色褪せた上着が雨に濡れ始めた 吐息が溶けてゆく冷たい空に 現実はいとも簡単に 運命の波に飲まれて行った エピローグの途中で筆を 置かれてしまう小説のように 未完成では意味をなさない ものなんてそこら中にあるから 散らかった部屋を横目に またベッドに倒れ込んでいる 哀しみはいつかきっと 時が忘れさせると思っていた 明日の天気予報は 年明け最初の雪を告げた 冷え切った指先を ポケットの中でやり過ごしていた 一人取り残されたような世界で