予定より少し遅れて家に来る いつものことだから 特に何も思わない でも今日はちょっと違う ただ荷物をまとめるだけの日 「少し袋が小さいね」 「思ってたより置いてたんだね」 ってぎこちなく笑うふたり 妙な空気が漂う 喧嘩した日をなぜか思い出した またひとつずつ終わっていくこと どうしようもないと割り切れないし まだ君を好きだってことも わかっているくせに 夜中目が覚めると 耳元で聞こえていた 寝息はもう聞こえない これが最後の日 手に入れたばかりのCDかけながら ベットに腰掛ける 「どうして私じゃだめなの」 と歌う声が聴こえて 気がつけばふたり涙を流していた 駅まで走るエンジン音 目一杯に詰めた紙袋持って 助手席を降りて 小さく手を振った 離れていく君の涙の理由は 僕には到底わかりそうにはないけど まだ僕のために流したんだと 思ってていいよね 君が来た時だけいつも散らかる ベットの上はもう散らからない これが最後の日 またひとつずつ終わっていくこと どうしようもないと割り切れないし まだ君を好きだってことも わかっているくせに 黒のスウェット、 お気に入りのパジャマ 空の化粧水、黄色の歯ブラシだって 全部君がいてくれた証だった もういくら泣きついたって どこにも行かないでって言ったって 今更遅いし 会えなくなってしまう現実 部屋のどこを探しても君はいない これが最後の日