AWA

帰り道

11
1
  • 2023.04.21
  • 4:59
AWAで聴く

歌詞

帰り道のこと、おぼえてる? 西日をたどって、 濡れた靴が土を踏む音。 手をひろげると、 ゆびさきにふれる 草の穂がくすぐったい。 飛行機雲を追いかけて、 はしる犬の尾は金色だった。 こだまする声に手をふって、 山のふもとに 家の明かりがにじんで……。 なつかしいにおいの風をかぐと、 ふと 知らない誰かをひとりで 待たせているようで、 あわ色の空にまたたく一番星が 言いようもなく さびしかった。 帰り道のこと、おぼえてる? 田んぼのまわりに銀色のテープが 張られてて、 それが風に吹かれてきらきら光って あぜ道のずーっと向こうのほうまで 風車が並んでさ、あれ、 なんだったんだろうね 地平線にたなびく銀色のテープ。 銀色のテープがきらきら光って、 風車はまわりつづけた。 五時のチャイムと下校放送、 遠くで踏み切りが鳴りはじめて、 地平線にたなびく銀色のテープ まわりつづける風車(かざぐるま) 五時のチャイム、下校放送、 遠くから響く踏み切り、 枕木の、鳴る音。 さよなら、 さよなら! さよなら—— いく度ものあしたがまっさらにはた めき きょうが かすんでゆく 春の雨にむせび 夏の緑に狂い秋の長い夜をくぐり 冬の朝の白霜を踏み越え 空のてっぺんがまわりながら 近づいてくる 薄明けの空へいっさんに駆けあがる 犬の尾 はしって はしって ずっととおくまでいってしまう 裾におよぐ草の穂 手をひろげてもなにもふれない…… 山の向こうから夜が満ちてくる 靴を濡らした幼いわたしと 出会えないまま ひとり帰るすべを知る たくさんのさよならをしたけれど きょうのはしっこをそっとめくれば きのうの先に愛し 愛されたものものが 胸の奥底に息づいてめぐり まなうらの戸を叩くように わたしをゆり起こしにやって来る やがて星は消え 知らない国からめざめはじめた まあたらしい 朝の気配に耳をすませる—— 帰り道のこと、おぼえてる? 西日をたどって、 濡れた靴が土を踏む音。 手をひろげると、 ゆびさきに草の穂がふれ…… 見える? あぜ道のずっと向こうに、 影ぼうしが立ってる。 こっちに手をふってる。 ちいさく手をふりかえしたら、 帰ろう。 さよなら。 またあした、 会おうね。

1曲 | 2023

このアルバムの収録曲

  • 1.帰り道
このページをシェア

Poetic Mica Dropsのアルバム

1曲2023年
1曲2023年
Poetic Mica Drops
の他の曲も聴いてみよう
AWAで他の曲を聴く
はじめての方限定
1か月無料トライアル実施中!
登録なしですぐに聴ける
アプリでもっと快適に音楽を楽しもう
ダウンロード
フル再生
時間制限なし