おかえり、誰か おかえり、誰でも とりとめもなく傷ついて どんな言葉も嘘っぽくて ひとりになりたい時、おいで 走っておいで ゆっくりおいで 行きたくても行けない人は 気持ちだけでも おかえり ただいま、って聞こえなくても 言う 何度も、何度でも お日さまがまぶしすぎるから 世界の暴力的な明るさに ちっぽけなあたしたちはいっそう 影を濃くして 風の渡る誰もいない原っぱで 草のように揺れるふり 心の底へ根を伸ばし ひとりぼっちを噛み締めて苦い そろそろ、ご飯にしませんか? こぼした涙も、隠した涙も、 癒えない孤独も 水と一緒に吸い上げて お日さまをたっぷり浴びた 野菜は甘い いただきます、手を合わせる時 あたしたちはあまりにも無防備で なぜか胸が痛んで 少しだけ優しくなれる おかえり 見えなくても、聞こえなくても、 触れられなくても どこかにたしかにいる、あなた ようこそ どうぞ、めしあがれ