夢で、さびしさの練習をしていた ひたひたに水を汲んだからだを 起こし 遺跡になってゆく町を見おろす ひとびとは肩口から若い木を生やし とりとめのない雲は腹をそろえて 新芽を摘む若者たち 爪を切るように清潔だ 人類は進化した すこしずつじぶんを切り捨てながら 生きている 氷河期にはやすやすと冬眠し 土の向こうで終わらない穴が ひとの残像を呑み込んでゆく (……もろい練習は 本番にたえることができない それでもくりかえしてしまう くりかえしてしまう) そらんじてきたことの意味のなさに 滅びかけてから気づく テスラの風車はまわりつづけて 雨期のわりに晴れている この部屋は日当たりがいい 芽さえ吹かない片腕を持てあまし しずかに水を吐いた 山頂で座礁したまま 捨て置かれた方舟が 朝靄をかぶった影のようだ その舵を いまからとりにゆく