やけに真面目そうなへの字口を 笑わせたくて計画を立てた 意外なくらい 『ふにゃ』っとした表情で パンのようだ 猫が丸くなりそうな きみの悩みはこの町の駅みたい 四半世紀前に映画の舞台になって それきり忘れられた 答えろ 僕はどうしよう 『えーっと 人それぞれですね』 土壇場で繰り返す気か その正論の常套句 土砂降りの夕刻を 駆け抜けきみを迎えに行く 雨宿りバス停のきみに手を振る瞬間 間抜けにも傘を忘れたと気づく やがて雨上がって 宇宙はきみの瞳の中にあると知った 地図からも掠れて消えそうな 小さな町 煌く一大事 ほとんど役目のなくなった踏切が 思いついたように 唐突に遮断機を下ろして 距離開いた 列車は空港の方へ過ぎ去って また目があった 照れくさそうにへらりと まるで春がきたように ニュースや新聞が 皮肉まじりにからかったって いまならまっすぐに読めるその名前 とても綺麗で似合うと思う きみのパパには悪いけど こっそり確信した たぶん僕がいまこの世界で一番 きみを可愛く写真に撮れるだろう きみは土砂降りの夕刻を スカート濡らして駆けていく 雨宿りバス停の僕に手を振る瞬間 「傘を忘れた!」と驚いている 世界中のラヴソングは 僕には無縁と決め込んだはずなのに なんだか近ごろおかしいんだ ほとんど君のせいだと思うけど いま僕の一大事 ねえ、そんな笑わないでよ
