瞬きひとつの間に過ぎ去っていく 青嵐のような君の後ろ姿が、 滲んだ視界の中、おぼろになる。 誰もいなくなった 帰り道を歩いていく。 明星が傾いていく。 ほのかに夜の匂い。 明日の僕らが 今日の僕らと違っていても。 二度とは戻れないとしても。 例え十年先も二十年先も、 きっと、ずっと、 忘れられないんだよ。 手を繋いで誓った、幼い約束を。 夏の終わりを告げるような 微温い風とともに、 淡い紅掛けの空の色に 染まっていくよ。 どこかで落としてきて しまったのかな。 大切にしてきたことだけは 覚えてる。 些細な思い出の依り代たち。 色褪せてしまって、 頼りなげに佇んでる。 足跡を辿れたなら。 あの日に戻れたなら。 透き通った 君の頬に浮かんだ憂いを、 二度とは見逃しはしないのに。 何も言わずにそっと 消えてしまった。 どうして僕を 置いていってしまうんだよ。 隣にいた筈の君が残したもの。 またいつか会えるように、 君を探せるように、 右手に少し灯る微かな温もりを。 想像で胸が満ちるほど 幼かった頃は知らなかった。 永遠というまぼろしはいつか、 その手から溢れてしまうことを。 別れ道が来たらさよならだと。 夕凪の静寂が僕を包んだ。 君を連れていった青嵐のあとで。 例え十年先も二十年先も、 きっと、ずっと、 忘れられないんだよ。 手を繋いで誓った、幼い約束を。 夏の終わりを告げるような 微温い風とともに、 淡い紅掛けの空の色に 染まっていくよ。