薄い絹を重ね合わせたような雲に 姿隠す太陽の輪郭 滲む 似た景色をいつか見たような 気がするが いつだったか 一人だったのかはたまた 愛したのは幼さだけ 年の割に無知だって 世間知らずそのままで 足りない時間埋めるように ねだるその目に溺れて 欲しがるものを与えて 飼育欲が満たされて 気づいたときは一人の女 俺は噛ませ犬 渡り歩いた部屋の設えばかり やけにくっきり記憶に残ってる 鏡に映った二人を お前は好んで見てた 愛したのは愚かさだけ 年の割に無知だって 世間知らずそのままで 碌に言葉も知らないのに いっちょ前に生意気で 欲しがることに応えて 飼育欲が満たされて 気づいたときは一人の女 俺の指をすり抜けた 所詮はこうなるさだめで 感じないような振りして なまめかしい想い出にも薄い絹を 重ねてく どこかで生きてるなら いい女になってくれ 望むべくもない この俺は噛ませ犬