改札を抜けて、石楠花の街へ。 どこへゆけば良いのか 僕だけが迷っていた。 教室の隅で漫ろに憂いて、 気づけば陽が暮れてた。 よだれの河干上がって。 僕の悲しみに名前をつけるな! 塞ぎ込んでたら動き出した。 理由も特にないままで。 動き出した隣人は皆、 考えなど何もなく見えて。 立ち止まって祈るだけで、 いつの日か救われるわけないだろ。 君がこけなきゃ何も起きない。 案外、単純で退屈なコメディ。 大事なことだけするりと忘れて、 今日の僕は何を 成し遂げただろうか。 洗濯物の山が崩れる。 理科の久保爺が褒めてくれた日を 燃やして、暖をとってさ。 何もかもやり過ごしたいんだ。 安くて味の濃い何か、 僕は飲み下して眠った。 叫び声がまだ止まないんだ。 心臓は僕を笑っていて 転げ落ちた僕を見下ろす。 同情なら猿にくれてやれ。 僕はどうしてここに立ってて、 言いようのない悲嘆に沈んでるの? シャツの穴から覗く浮世を、 間抜けな顔で生きるコメディ。 フライパンで僕を引っ叩いて、 ペラペラになって風に舞わせて、 早くもってこいよロードローラー。 ベタなバナナも悪くない! 哀愁なんかで騙さないで、 慣習ばっかで嫌んなんね。 口論ばっかにたよんないで、 全て喜劇に変わるはずなんだ。 そんなわけがないけどさ。 塞ぎ込んでたら動き出した、 理由も何もないままで。 動き出した瞬間だけは、 心臓は僕のものになって。 息が切れたら、足がもげたら、 逆立ちで唾を吐いて進め。 動き出した瞬間、 僕を指差して笑え阿呆どもよ。 僕はこうして、腰曲がって、 悪態をついて、孤独になって、 死ぬんだろな。 構わないけど少し寂しい。 結局さ、仕方なく生きるコメディ。