僕たちは 退屈な日々に相槌を打って、 結局は 排泄のような愛着で生きている。 地方都市、むせかえる夏。 河川敷に生ぬるい風が。 同心円にひろがる「私」 重機の軋む音。 おんなじ声、声、声。 取り繕ったら僕だった。 それが答えだと告ぐように、 風の匂いが深くなった。 どうしてだろう。どうしてだろう。 何もかも傷つけて守った僕が、 ありきたりな空洞で笑える。 何でもないまま誰かになっても、 変わらない劣等感が追いついて、 聞き飽きた声は染み付いて、 あなたはあなたのまま。 僕たちは 退屈な日々に相槌を打って。 相槌を打って。 「相槌を打って」 「相槌を打って」 「相槌を打って」 「相槌を打って」 止まない音を躱して! 取り繕ったら僕だった。 それが答えだと告ぐように、 咽せる暮らしだけ過ぎていた。 どうしてだろう?どうしてだろう? 明日になったら僕だった。 変わらずつまらない僕のまま。 だけど、変われない僕だから。 さあ、体よ。 もう動けよ。 読みかけの本が増えていた。 書き出しで嘘は熟れていた。 記憶より肌を信じてた。 「私」を脱ぎ去る。 ありふれた僕もいいもんだ。 おんなじ声を許したんだ。 やがて凪ぐ日々に恋をした。 消えない、僕らはホムンクルス。