最期の銃声 力を失った少年を縛り 狩人は城へと引きずってゆく 二人を狼はじっと見つめ 崖の上から月夜に吠えた 少年に届くように…無事を 知らせるように 「我が友と前足の恨みは 忘れない!」 「この牙で闇からお前を 喰いちぎる!」 雪が積もる夜に凍える風を纏い 狩人は森へとまた返ってきた 「あのガキはたいした 金にならなかったぞ!」 「いるんだろ!?におうぞ! 銀のヤマイヌめ!」 振り向いた狩人に飛びかかる 銀色の影 素早く銃弾がその影を撃ち抜く 「その足じゃ速くは走れまい!?」 笑う狩人 最期の銃声が闇を切り裂き狼を貫く ふらついた狼は静かに横たわり 男は微かに唸るそれを見下ろす 風が止み…友の声が狼には 聞こえた… 刹那に瞳開き首元をめがけ 飛ぶ———