Track by唄人羽
ネモフィラの森 ∼プロロ—グ∼ 静けさが闇を包み込むその夜に ふたりは出会ったネモフィラが咲く 森で 「大丈夫さ」「平気だよ」と 不思議な声がそっと… 少年の手がこの傷に恐れることなく 触れたから牙を剥いた「イテテ」 と笑う声 「触るな!」 はじめて味わう感情に戸惑う 滲んだその手を少し舐めてみた 月夜にそぐわぬ 赤い血がどこかあたたかい 長い前髪で隠す少年のその瞳を 狼はただ見つめていた悲しく微笑む 影 「運命さ…」 片足のない狼と片目のない少年の声 儚く弱い光を求めてゆれ動く心が 今———