やっぱりあっちに逃げてりゃな この次の手番はどうしようか もう何手も前から詰んでんの お前に見せる夢などとうにないの あー、覚えてないんならいいんです どうも、お初にお目にかかります そりゃ無理もないか 君は変わったもんな 一歩ずつ前にしか進めない駒から 丸くなったね 視野も広くなったね もうその 気になればどこまでもいけるね ハイ、 じゃあお前も今日から危険な 遊具の仲間入り ひとり、またひとりと消えてった 軍師も遂に逃げ出した 四百字すらも ロクに 埋まらない上辺だけの反省文なんか 丸めてポイしてやったのさ 覚えとけ 今日は僕が殿 いざ、と力んだその直後 なんでか膝が笑ってしまってんだ 主人の帰りを待っている 涎垂らして唯々待っている お利口に 健気に 切実に それだけで 美談になっちまうくらいに あとがつかえているからさ 今すぐそこをどいてくれないか あーあ、残念でした あーあ、あとちょっとだったのにな 惨めな奴らは寄っといで 袖口の傷を舐め合っていよう 見様見真似の百鬼夜行は漣ひとつで 散らばってしまった 成せば成るって信じきって剥がれ 落ちた野箆坊の鍍金 綴る五七五七七 覚えてろ、じきに化けて出てやんぜ 精算したいのさ これまでの全部 空威張りばかりしてしまうのは 負けが込んでいるこの現状を 認めたくないだけ 夢見の心地を振り払って霧が 晴れたのなら前へ進め 穴熊の巣を掘り返しては雑兵を 残らず踏み潰せ 何処ぞの誰かが言っていた 勝てば官軍、負ければ賊軍 勝てる相手だけ戦えばいいさ なぁんだ、簡単なことじゃないか。