なけなしの日銭をこさえて 500Wで2分30秒 もうスマホの画面はバキバキ 電池残量も残機も足りない 幸薄いくらいが丁度いい なんて強がるのはもうお止し なるだけ幸せでいたいじゃんか そんで上り調子でいたいじゃんか ある日 天使にもらった こんな小さな薬を カルキで流し込めばさ 実によく眠れるらしい 踊り明かせ!尻尾振って! あんなにもハイになれんなら 昔話の悪役よろしく 鯲を捕まえに行こうぜ 二匹と言わず掴めるだけ あいつに倣って疲れるまで 力尽きた後は誰かよろしく 賽だか匙だか投げといたから なんて素晴らしい効能 こんな特効薬は知らない 何食ったらそんな歌吐けんのって? ほら ほら 君にもあげるよ 忘れられない快楽は 当然、街中蔓延って 皆 揃って両の手を差し 出すんだもん どっちが 病かわかんなくなってんのさ ある日 悪魔が囁いた 答えなんか訊いちゃいないが 望みの一つは叶えてやるから あんたの寿命、半分頂戴 摘み出せ!元凶を! 無免許でもなんでもいいから 俺を綺麗な体に戻して! その磨かれたメスで スカスカなオツムの隙間に 染み込んじゃってもう手遅れ お生憎様 ここまでだよ 最善の手は尽くしましたが 悩みは吹き飛んで 力はみなぎって でもやっぱ眠れなくて さぁ 大人になれよ少年 思考も電波も乗っ取って 呂律だって回んなくなって 何もかもを奪い去って それでもまだ足りないか 痛いのは嫌 怠いのも嫌 暗いのも嫌 照らしてよ もっと 網膜が焼き切れんばかりの直射で 金ならば持ってきた! さぁさっさと処方してくれよ 脇腹が軽くていまなら どこへだって飛んでいけそうだ 嵐のように過ぎ去って 数多人類を狂わせた 端から金なんかじゃ買えやしない その劇薬をのちに愛と 呼んだそうです