寝床から転がり落ちて 醒めた客寄せ熊猫の夢 刃渡り二寸の牙を剥く 肉食獣を横目に 檻ひとつ隔てた先で 山羊が呑気に草を食んでる そこから一歩でも踏み込んだら もう遊んでやんないぜ さっきまで溌剌と走り 回っていたあいつが 腐乱臭を放っていた 明日は我が身だ、背筋を正せ 縋るように檻を蹴った 守られてるとも知らずに 当たり屋じみた言い分は ここじゃ通用しないのさ ただの 芸達者ならもう間に合っているよ ただ噛み付いただけじゃ 泡吹かしたとは言えないな 固唾を飲んで見守るとしようか 見て見ぬ振りが降り積もった 其れ、ひとりがひとりたる所以 穴蔵までがひどく遠くて 仕方なく四足で歩いた 住んでる世界が違うって 勝手に仕切ってるだけじゃないの 見えてる世界が違うって ただラリってるだけじゃないの さぁさ お目通し願おうか 手土産はないが仲間に入れてくれよ チャームポイントの赤い目が潤んだ 結末を知っていたかのように 片足で立ってるフラミンゴ 知らず膝を透かしたお調子者 もう飯事じゃねえんだ茶化すな 背中見せる相手はちゃんと選べ なぁ、ありのままってなんだっけ 足が短くてうまく跳べねえ まして月なんて届かないし どうやらここが引き際 無我夢中で逃げ惑ったつもりだった 遊ばれてんだって 気づいたその時には 笛の音は鳴り止んでいた 走馬灯も束の間に過ぎ去って 撫で回されて 飼い殺されて 赤茶けた鉄格子に縋った 端から縄張りなんてなかった いまからでも両成敗とはいかないか