水切りの石みたいに 放り出されたあたしの身体 一度 水面をかすめると それは 段々と頻度を増して やがて水中に沈んでく 水の中ではヒレが生えた 泳ぎ回るあたしの身体 だけど所詮 地上の生き物 水の底は虚しすぎる 上を目指して泳ぎ始めた 水の上へ顔を出した途端 叩きつける波があたしを 水中へ押し戻そうとしたけれど お前が待ってくれてるから あたしは戻りたいと頑張れるの 今はこの姿 見えずとも 必ずいつか地上に帰るから 幾度となく飛び跳ねては 再出発を試みるけど いつも失敗 落ちては沈む 人はその度 指差して笑う 下を目指して泳ぐのやめた もはや跳ねる力も絶え果てた 笑われたくないという言い訳 希望は水圧で押し潰された 他の誰もがあきれて やがてみんな背中を向けても お前は待ってくれてたのか あたしにはそうとしか見えなかった あぁ このまま沈み込んだなら 伝説にだってなれそうね それを「許さない」と叫ぶ声 お前がいてくれるから あたしは戻りたいと頑張れるの 今はこの姿 見えずとも 必ずいつか いつか お前が待ってる地上まで もう幾らもない あとひと泳ぎ 歪んでしか見えなかった太陽の 輪郭を今 掴んだ