雨の匂いが伸びた 髪にまとわりついて 生ぬるい空気が耳元から離れない 呟くような声じゃ あなたの耳には届かない 雨音が二人を邪魔して いつもより少しだけ遠い距離 今日は頑張るって決めたのに いつもより少し大きな 声であなたの名前を呼ぶ ねえ ねえ 気づいてよ ねえ 胸にしまった声も聞こえるほど耳を 澄まして あたしの心まで見透かして 大きな傘など関係ないほどに 少し早起きして 丁寧に描いたこの顔も あなたの前じゃ役に立たずに もっと素直に顔を上げられたなら この距離はどこまで 縮められるんだろう いつもより少しだけ歩幅を狭くして 歩いた帰り道 いつもより少し勇気を出して あなたに笑いかける ねえ ねえ そばにいたいよ ねえ こんなこと考えて心まで 土砂降りにならぬよう 雨に溶かした言葉を拾って 濡れた裾さえ愛おしいほどに ねえ ねえ 気づいてよ ねえ 胸にしまった声も聞こえるほど耳を 澄まして あたしの心まで見透かして 大きな傘など関係ないほどに