ぬるい午後 頬杖をついたまま 窓の外どこまでも続く空を見上げた 明日には この景色も変わってしまう 変わらないものなんてこの 世にあるのか ここから見える木 あれも花をつけた けれどもうすぐきっと 葉になりそして枯れるでしょう 無為に生きていても時間はすぎる 秒針が動く度消滅に歩み寄る 吹き抜ける春の風が花びらを流す 『今もしも時間を止められたら 何をする?』 なんて問い 愚問でしかないよな だけどもしほんとに時が止まれば 私は私が消えた後に逝く 場所探しに行こう 日記に書いた字 私が生きた証 この先何年ずっと此処にこうして 残るでしょう あの夏感じた爽やかさは失せて 今はただ静かに涼風にあたりたい 美しく透ける凪に葉桜が浮かぶ 移ろってゆく浮世の中で 無彩の日々を私は過ごすのか 虚ろってただ目にしたものを 歌に詠んで 一瞬の不変 書き綴っていきたい 変わらないものはこの世にはない 個々の記憶だっていつかは薄れゆく 現世で感じるえもいはぬ心緒を 私だけが綴れる詞で残したい 麗らかに揺れる風が言の葉を運ぶ