闇にぽつり浮かぶ 居待月に見惚れながら ひとりぶんの影は彼が来るのを 待っていた 袖掠める風に少し侘びしさを感じ いつまで待てばいい触れられぬ 温もりを 寄り添った景色が目を 閉じればそこにあって 色褪せてくさまにただ 虚けるだけだった 闇にぽつり浮かぶ居待月も 臥せはじめて ふたりぶんの影は私の中に閉じ 込めた 枕濡らし眠る日々に暇乞いをして かたこひの気持ちに優しく終止符を 打つ 枯れ始めた木々に寄りかかり声を 聴く 色褪せる景色も今は愛しく思えた 夢心地でいたかった あなたを恋い慕っていました この胸の塞がりが空くまでもう少し 待って 寄り添った景色が目を 閉じればそこにあって 色褪せてくさまを優しく抱き寄せた 秋はまた更けていった