なんにも変わらないな。 先を歩いた君が、青塗りの空に目、 細ませ言った。 湿る風で、 長髪のほつれに思い出が香った。 知らせることはできないけれど。 よかったこと、いやなこと、 押しつけてしまうには 綺麗すぎたんだろう。 君の足が止まる。 抱えたまま行くのね、 と唇に朱がさした。 ふさぐことはできないけれど。 戻ってくれたなら……。 どんなに未熟な心さらけ出しても、 それでも君がいいよと、 笑ってるから。 とりとめのない思いも、 また話してみてよ。 君のいられる明日が来るまで。 夏葉の影にひとり、 隠れこむようにして、 いっそのことこうして 浮かびあがらないでいいと、 うつむいた瞳の色、 あの頃からも変わらなかった。 嬉しくなったのは秘密にしよう。 使い古しの気持ちに 名前をあげようとして、 振り向いた君を燃やす陽ざし束。 おねがいよ。消してしまわないで。 火の粉にされては悲しいよ。 名のないそれだって君のもの。 戻せたとしたなら……。 どんなに未熟な心さらけ出しても、 それでも君がいいよと、 笑ってるから。 腫れてしまった傷口が癒えるまで、 休んでいってもかまわないよ。 今はもう私、そこにいないけれど、 姿の違う君でも 君だとわかってるよ。 たくさんを乗りこえて 来たんだろう? わかるよ。わかっていたいよ。 どんなに未熟な心さらけ出しても、 それでも君がいいよと、 笑ってるから。 とりとめのない思いも、 また話してみてよ。 君のいられる明日が来るまで。 明日が来るまで。 あなた失っていた日々が 波が揺れたあいだ 見えた いつかふたたびの待ち人 さよなら わたしは明日へ行くから