古い本に思い出した 初めてあなたを見かけた日 まわりは皆早送りで あなただけ止まって見えた日 やわらかな横顔に会って 走り出す鼓動を知った 例えばさわれない雲のように ふわりと消えた人を想う 二度とは会うことも なかったホームから 始まらない恋が始まった そのあなたが抱えていた 本の背表紙を記憶して 何日も探しては 手に入れたのはあの日のせい 湿った夏の制服を 着ることはもうないけれど 例えば色つきの夢のように あの日が遠<なるとしても 古い本のすえた匂いに思い出す 始まらない恋だったこと 湿った夏の制服を 着ることはもうないけれど 例えば色つきの夢のように あの日が遠くなるとしても 古い本のすえた匂いに思い出す 始まらない恋だったこと