待っておくんなさい そこの兄さんよ 惚れた腫れたなら いっときだけ でも彫りたいのさ 牡丹の緋の色 寒桜の紅 枯れぬ心に 毀れた白刃を翳して 生きる不器用さ赦して 浮き世の裏から表を 覗く きらめきは 恋の炎 一叢 素肌を刺すのは 青い鉤爪と 薄墨の鱗 修羅をくぐり 張っておくんなさい さあ丁か半か 夜風はいずこに 靡くとしても 巡り合うことの定めを 愚かな女 無駄にして 孤独の果てに辿り着く 闇へ 踏み出して この末世に 賭けよか 白衣などいらない わたしの背には龍 涙など持たずに あなたの肩で哭く ひととき抱いていて 蘇った空に 再び何処までも 昇ってゆけるから 人は生まれ落ちた瞬間に 一度きり賽は投げられ 浮き世の底から天へと 毀れた白刃を翳して 生きる不器用さ赦して 浮き世の裏から表を 覗く きらめきは 恋の命 一片