おそらくはもう知るものもない、 とくべつな海路をえらぶ夜 かがり火のもとへ結わう花は、 水竜によせて さざなみはしおかぜに舞って 水面はどこまでもひかる つかの間の凪はまぶしく 区切りにはふさわしい日だった すべては今更だったな だいじょうぶ 未練はないよ 寄る人もない小高い丘で、 旅路の果て、花を添えて 波や風のゆくえを知る貴方にだけ 見えた道が 星よりも近く、やさしく、 私を導く気がした いつかまた、新しい生き物になる そういうことにしよう そのための花を贈ろう たとえば伝承のように天を抱く 竜になれたら やさしく光を示すようなおおきな 慈愛をもって 波や風のゆくえを知る貴方にだけ 見えた道が 星よりも近く、やさしく、 私を導く気がした 大袈裟な悲しみはないが 海鳴りに心は波立つ ただ飛行機雲がきれいだ