もうすぐやっと俺も父親になる はずが 春は雪を溶かし君だけを想い出にした… 抱きしめれば 俺の腕があまるほどに 君はとても華奢な身体だった 抱き寄せても 俺のほうが逆に震えて まるで母親に抱かれる子供の様だった 君は君の涙…俺は俺の涙 違う過去の涙…重なるふたつの涙 頬に落ちて、心に落ちて、傷を流した この小さな部屋で夢を見ることさえ 許されない愛と罪に感じた 明日も見えない道を歩いて来たけれど こんな俺に君は 「私を守っていて欲しい…」と言った 他人に何と言われようと 君がいたから 君と出逢う事が出来て 生まれ変われた もうすぐやっと俺も父親になる 長い ふたりの冬も終わり幸が過ぎたあの夜… カレンダーの印見ては「あと半年だね」と その瞬間にはずっと傍にいてあげる約束だった 君は君の命…俺は俺の命 もうひとつの命…失くしたふたつの命 白いベッド、横たわる君、早すぎるだろう 先に歩くくせの俺の腕をつかんで 「置いて行かないでよ」と いつも言っていたのに もうすぐやっと俺も父親になる はずが 春は雪を溶かし君だけを想い出にした… いつかきっと君も生まれ変われる はずさ そして又めぐり逢いこの道を歩くために…